減塩の日(毎月17日)に減塩と学校給食について少しだけ考えてみる
毎月17日は減塩の日と特定非営利活動法人 日本高血圧学会が制定している。
●減塩の日
特定非営利活動法人 日本高血圧学会が制定。高血圧の予防や治療において大切な減塩をより多くの人に実践してもらうのが目的。日付は世界高血圧連盟が制定した「世界高血圧デー」(World Hypertension Day)、日本高血圧学会が制定した「高血圧の日」の5月17日から、一年を通じて減塩を進めることを目指して毎月17日としたもの。
◆給食食べ残し問題
神奈川県大磯町が町立中学校2校に昨年導入した配達弁当方式の給食が、平均して26%も食べ残されていることが、町の調べで分かった。約720人の生徒に提供されているが、多い日は食べ残し量が55%に上った。生徒からは「冷たい」「味が薄い」といった声が寄せられ、町は今月から具が入ったご飯の回数を増やしたほか、下旬には温かい汁物の追加を試みる。
以前は家庭の弁当だったが、保護者の要望を受け、昨年1月から民間業者に調理と配送を委託するデリバリー方式の給食にした。調理施設の早期整備が困難だったためだ。献立は町の栄養士が作っている。
ところが当初から「おいしくない」「食べ残しが多い」との指摘を受け、町が今年5~7月に「残食率」(給食の総量に対する食べ残し量の割合)を調べたところ、平均26%に上った。環境省が2015年に調査した小中学校給食の残食率の全国平均6・9%を大きく上回った。
町教委は7月に生徒や保護者らを対象に「どれくらい残すか」「残すのは何か」などのアンケートを実施。集計中だが、白飯や野菜を残す傾向が強く、「味が薄い」「おかずが冷たい」という声が目立つという。ご飯は保温され、やや温かいが、別容器のおかずは衛生管理上、冷えた状態で届く。
当面の対策として町は今月から、月に1~2回だった具が入ったご飯を週1回程度に増やし、パン食も始めた。野菜入りの汁物を試行して好評なら来年度から本格導入する。塩分を抑えるため月に1~2回小袋で付けていたふりかけについても、使用方法や回数を学校と町が検討している。
町教委の宮代千秋・学校教育課長は「学校と連携して、できるところから改善していく」としている。ただ、状況が好転しない場合は、給食か家庭の弁当持参かを選べる「選択制」も検討するという。
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健康でおいしく食べられる食事を目指して努力してほしいものである。
何事もバランスが大事である。いわれずとも、社会的常識。
当たり前のことですよね。
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◆国の減塩方針
来年、国の食事摂取基準の改定を受け、食塩の摂取目標量が引き下げられ、1日あたり男性8g、女性7gに厳格化される。
減塩が高血圧などの生活習慣病だけでなく胃がんや骨粗しょう症まで幅広い疾患の予防に効果があることがわかってきたためだ。WHOも新たな指針を示すなど減塩政策が世界各国で進んでいるが、日本は世界的に見て摂取量が多い“減塩後進国”。
その原因は、調味料を始めとする加工食品などから多くの塩分を摂取しているためだ。減塩商品の開発を手がける食品メーカーもあるが、減塩商品を敬遠しがちな消費者の嗜好もあり市場は伸び悩んでいる。
一方イギリスでは、国が旗振り役となって食品業界に対し商品の塩分削減の自主目標を設定させることに成功。2005年からの3年間で塩分摂取量を10%削減でき、医療費も年間2600億円減ったという。どうすれば日本で減塩は広がるのか。
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◆減塩で得られる効果とは
①高血圧を予防する 塩分の摂りすぎといえば、やはり「高血圧」が気になりますよね。体内の塩分が多くなると、身体はそれを薄めようとして汗や尿などによる水分の排出を抑えようとします。その結果、体内の血液量が増えて血管の壁にかかる圧力が強くなり、血圧が高くなると言われています。
②減塩はダイエットに有効 ダイエットといえば、糖分や脂肪を抑えることを考えますが、実は減塩は「食べすぎ」を防ぐのに有効だと言われています。言い換えれば、塩分は食欲を増進するので塩っ辛い食事は食べすぎの元になるということです。
③減塩は腎臓病の改善、進行防止に必須 減塩は健康増進だけでなく、腎臓の病気の治療の一環としてとても重要な役割を果たします。腎炎、腎不全、ネフローゼ症候群などによって腎臓の機能が落ちると、腎臓の重要な働きであるナトリウムの排泄が上手くいかなくなります。減塩は腎臓の負担を減らし病気の進行を遅らせるためにとても重要で、腎臓病の場合は病院による減塩指導が行われることになります。
◆「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書を取りまとめました。
厚生労働省のホームページより
厚生労働省は、この度、「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」(座長 菱田明 浜松医科大学名誉教授)の報告書を取りまとめましたので、公表します。
日本人の食事摂取基準は、健康増進法(平成14年法律第103号)第30条の2に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を厚生労働大臣が定めるもので、5年毎に改定を行っています。この検討会では、平成27年度より使用する日本人の食事摂取基準(2015年版)を策定するため、平成25年2月から議論を重ねてきました。この報告書を基に、平成26年度中に大臣告示をする予定です。
【主な改定のポイント】
1)策定目的に、生活習慣病の発症予防とともに「重症化予防」を加えたこと。
・エネルギー・栄養素と生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病)の発症予防・重症化予防の関連についてレビューを行い、検討。
2)エネルギーについて、指標に「体格(BMI)」を採用したこと。
・エネルギーの摂取量及び消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標として、体格(BMI:body mass index)を採用。
・成人期を3つの区分に分け、目標とするBMIの範囲を提示。肥満とともに、特に高齢者では低栄養の予防が重要。
3)生活習慣病の予防を目的とした「目標量」を充実したこと。
・ナトリウム(食塩相当量)について、高血圧予防の観点から、男女とも値を低めに変更。
18歳以上男性:2010年版 9.0g/日未満 → 2015年版 8.0g/日未満
18歳以上女性:2010年版 7.5g/日未満 → 2015年版 7.0g/日未満
・小児期からの生活習慣病予防のため、食物繊維とカリウムについて、新たに6~17歳における目標量を設定。
平成26年3月28日
【照会先】
健康局がん対策・健康増進課栄養指導室
室 長 河野 美穂 (内線 2978)
室 長 補 佐 芳賀 めぐみ (内線 2333)
栄養調査係長 日名子 まき (内線 2343)
(代表電話) 03(5253)1111
(直通電話) 03(3595)2245
※付録
★日本人の食事摂取基準とは
日本人の食事摂取基準は、日本の厚生労働省が、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的として制定したエネルギー及び各栄養素の摂取量の基準である。
栄養士などの専門家向けの利用目的で作成されており、保健所や医療施設などで実施する「栄養指導」や学校や事業所などの「給食」の提供の根拠となる科学的データである。
●2010年版
主な変更点
年齢ごとの「推定エネルギー必要量」(小児と若年女性で減少、高齢者は増加)
食塩の目標量(男性10.0g→9.0g、女性8.0g→7.5gへ減少)
カルシウムで設定されていた「目安量」「目標量」から「推奨量」を目指すことに変更
●2015年版
生活習慣病の発症だけでなく、重症化予防も検討した。
体格をあらわすボディマス指数(BMI)ごとのカロリー摂取量を策定。
しかし一方で
「推奨塩分量」にエビデンスなし 米国医学研究所が見解を示した。
米国医学研究所(IOM)は2013年、米国で推奨される1日当たり塩分摂取量の5.8gなどの数値には、「エビデンスがない」との見解を発表し、大きな反響を呼んでいます。
IOMによると、「1日5.8g未満で心臓病や脳卒中、死亡が増えた、あるいは減ったと結論づけるためには、研究の質や量が不十分」であり、「中等~重度の心疾患で治療を受けている患者では、塩分摂取量が低い方が、病気の見通しに悪影響があることがエビデンスで示されている」とし、塩分量と健康の関係にはさらなる研究が必要としています。
★高血圧
高血圧(こうけつあつ、Hypertension、高血圧症)とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態である。高血圧自体の自覚症状は何もないことが多いが、虚血性心疾患、脳卒中、腎不全などの発症原因となるので臨床的には重大な状態である。
生活習慣病のひとつとされ、厚生労働省(2013年度)は男女共に通院者率の最も高い疾患として公表している(2位は男が糖尿病、女が腰痛)。
アメリカ合衆国では1995年に、成人全体の24%には高血圧があり、そのうちの53%の人は降圧剤を服用していた。日本には4,000万人の高血圧の人がいると推定されている(日本高血圧学会)。
肥満、脂質異常症、糖尿病との合併は「死の四重奏」「syndrome X」「インスリン抵抗性症候群」などと称されていた。これらは現在メタボリックシンドロームと呼ばれる。
●日本高血圧学会では高血圧の基準を以下のように定めている。
すなわち、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上に保たれた状態が高血圧であるとされている。
成人における血圧値の分類(mmHg) |
|||
分類 |
|
||
至適血圧 |
<120 |
かつ |
<80 |
正常血圧 |
<130 |
かつ |
<85 |
正常高値血圧 |
130 - 139 |
または |
85 - 89 |
Ⅰ度(軽症)高血圧 |
140 - 159 |
または |
90 - 99 |
Ⅱ度(中等症)高血圧 |
160 - 179 |
または |
100 - 109 |
Ⅲ度(重症)高血圧 |
≧180 |
または |
≧110 |
収縮期高血圧 |
≧140 |
かつ |
<90 |
●収縮期血圧の目標値は数回にわたり引き下げの変更が行われている。
1987年、180mmHg 以下
2004年、140mmHg 以下
2008年、130mmHg 以下